G検定687名、E資格39名合格 〜中堅・中小企業向けAI分析サービスを展開する大塚商会が、“営業スタッフ”にE資格取得を促すワケは?〜

今回お話を伺ったのは、「ITでオフィスを元気にする」を掲げ、IT機器やシステムの提案から導入までを担う大塚商会。昭和36年の創業以来、一貫して、お客様のオフィス業務の効率化や情報化を支援しています。

同社では2021年、社内で蓄積したAI活用のノウハウとソリューションをベースにした中堅・中小企業向けデータ分析ツール「dotData AI分析サービス」の提供を開始しました。大塚商会が保有する最先端AIである「dotData」を活用し企業の個別課題解決を支援するサービスであり、本来莫大なコストが必要である最先端AIを廉価に利用できる画期的なサービスとして注目されています。これを機に、AI人材育成の取り組みをはじめ、現在(2023年5月)までに、G検定687名、E資格39名もの資格取得者を輩出しています。

同社のAI人材育成の大きな特徴は、営業担当者を中心に、G検定のみならず、E資格の取得も促している点です。取り組みの狙いや具体的な活動内容について、AI人材育成を牽引する執行役員・山口大樹氏と、両資格の取得者であるAIビジネス推進課の植松健氏にお話を伺いました。

Profile

山口 大樹 氏

大塚商会 執行役員 営業本部 トータルソリューショングループ AIビジネス・経営支援サービス推進担当

植松 健 氏

大塚商会 トータルソリューショングループ AIビジネス推進課

中堅・中小企業向けAI分析サービスの開始とともに、AI人材育成が“命題”に

まずはAI人材育成に注力するようになった背景から伺いました。山口氏によると、大塚商会では、2017年から社内のセールステック分野においてAIの利活用を開始。それまで、営業スタッフが勘と経験を頼りに行なっていた顧客への商材提案において、AIが作成したターゲティングリスト(成約確率が高いと考えられる商材リスト)を活用したところ、成約率が約5%高くなるという成果が得られたそうです。

一方で、AIを用いたデータ分析は、一度のPoC(概念実証)で数千万円以上の費用がかかるなど非常に高価であるため、同社がメイン顧客とする中堅・中小企業にとってハードルが高いという課題がありました。

そこで大塚商会では、社内で蓄積したAI活用のノウハウやソリューションをもとに、中堅・中小企業向けに安価にAI分析サービスを提供する「dotData AI分析サービス」を開発、2019年にリリースします。「そのタイミングで、主に営業、技術、プロモーション部門を対象に、AI人材育成の取り組みが始まった」と山口氏は当時を振り返りました。

「2019年に、社内にAIビジネスを推進するための『AIビジネス推進会議』が発足し、そのメイン事業として、2021年に『dotData AI分析サービス』の提供が始まりました。すると、営業部隊がお客様にサービスを紹介していくわけですが、その際、当然ながら、AIの知識やスキルが必要になります。そこで、AI人材を育成する活動を本格化したという流れになります」(山口氏)

同社では、AI関連の受注案件について学ぶ勉強会を毎月開催するほか、AIやディープラーニングについて網羅的に知識を学べる「G検定」にフォーカスし、その取得を促すプロモーションを実施します。

「社内の施策としては、合格するとG検定の取得費用を会社から支給される制度を整えたほか、AIスタートアップAVILEN社が開発した『G検定対策講座』を無料で受けられる環境も整えました。加えて、例えば『G検定を取ると、AIの基礎知識が網羅的に身につけられ、仕事の能力も上がるよ』といったメリットが伝わる事例を勉強会で共有するよう心がけました。強制ではなく、主体的な姿勢を引き出すことが重要だと考えたからです。こうした取り組みにより、徐々にAIに興味を持つ社員が増え、2023年5月時点で、合計687名の合格者を輩出するに至りました」(山口氏)

パソコンの前に立っている男性

中程度の精度で自動的に生成された説明

“自身の取得経験”をもとに、E資格を営業担当者に推奨

さらに同社の取り組みで興味深いのが、営業部門の社員を中心に、「E資格」の取得も促している点です。E資格は、G検定に比べ専門性が高いカリキュラムであるため、一般的にはAIエンジニアなどが取得するケースがほとんどです。そうした中で、大塚商会は、なぜ営業職にE資格の取得を促しているのでしょう。山口氏によると、そのきっかけは、「山口氏自身のE資格取得経験」にあったといいます。

「2019年のタイミングで、私自身がAIビジネスを推進する旗振り役に任命されました。しかし、私自身はずっと営業畑にいたためAIの知識がなく、例えばエンジニアとAIビジネスについてディスカッションをするにしても、全く太刀打ちできないと感じていました。そこで、旗振り役として最低限の知識を身につけるべく、E資格を取得しようと考えたのです。

その取得プロセスで見えてきたのが、E資格が非常に体系立ったカリキュラムであり、たとえ文系出身でAIの知識がなくても、きちんと教材に沿って、段階を踏んでいけば、取得できる内容だということでした。さらに、数式など、実際のビジネスには必要がない要素が含まれるものの、もし当社の営業担当者がこのE資格の知見を得ていけば、当社のAIビジネス推進の大きな起爆剤になるとも感じました。

とはいえ、一般的な営業担当者が取得するには、きちんとコミットし、勉強にある程度時間を割く必要があります。そこで、E資格の魅力を伝える勉強会を開き、希望者に挙手をお願いしたところ、その場で36名の営業マンが手を挙げ、現在、鋭意頑張っているところです」(山口氏)

営業担当者のE資格の取得が、AIビジネスの拡大の推進力に

では、営業担当者がE資格を取得することで、どういった効果が見込めるのでしょう。山口氏は、まず顧客に「AI分析のユースケースを提示するプロセス」において、これまでより踏み込んだやり取りが可能になると説明します。

「AI分析サービスを受注する場合は、お客様のビジネスと課題を理解して、例えば、AIで飲食店の日別の売上を予測しましょうといった提案など、AIのユースケースを提示しなければなりません。実はここまでであれば、G検定を取得していれば、ある程度対応できると思います。しかし、E資格を持っていると、そのユースケース実現に向け、お客様が持つデータを俯瞰して、『これだけあれば、精度の高いAIモデルが作れますね』だとか、『これだとデータが足りないので、今後マネジメントする中で蓄積していきましょう』といった、もう一歩踏み込んだ話ができるようになります。これがAIビジネスを加速する上で、大きな推進力になると考えられます」(山口氏)

さらに「AIビジネスのボトルネック解消」にも効果が期待できると、山口氏は続けます。

「我々がAIビジネスを展開する上で、どうしてもリソースが足りなくなるフェイズがあります。それが、“案件化から受注”までのプロセスですね。受注を確定させるためには、エンジニアの工数を確定しないといけませんし、そのためにはお客様のデータの状態を理解しないといけません。これまでは、こうした作業を全てエンジニア側に負担してもらっており、ここが当社のAIビジネスのボトルネックになっていました。

しかし、この部分を、E資格を持つ営業担当者が担えるようになれば、ボトルネックが解消し、エンジニアも本来の役割であるものづくりに集中できるようになります。つまり、AIビジネスが一気に加速するわけです。その実現のためにも、E資格は最適なツールだと思いますし、今取得に挑戦しているメンバーが、当社のAIビジネス拡大に貢献してくれることを期待しています」(山口氏)

ゲーム画面のスクリーンショット

低い精度で自動的に生成された説明

G検定、E資格への挑戦が、“仕事の幅”と“人生の幅”を大きく広げた

――ここから少し個人の体験にフォーカスするため、実際にG検定およびE資格を取得した、AIビジネス推進課の植松 健氏にお話を伺います。まずは現在のお仕事を教えていただけますか。

この7月に新設された「AIビジネス推進課」に配属されました。先ほどの山口の話にあった、“案件化から受注まで”の部分における、営業担当者への支援がミッションとなっています。

――まずはG検定について。なぜ取得しようと考えたのでしょう?

もともと私はプロモーション部門で仕事をしていました。その仕事の中で直接AIに関わることはなかったのですが、もともとAIに対する興味があり、「正しい知識を得たい」という思いが強くありました。そうした中で、2019年以降、当社でG検定の取得を推奨する活動がはじまり、いろんな部署に対して、AIビジネスのリーダーを立てるといった動きが見られるなど、今後、会社全体でAIビジネスに力を入れようとしていることが強く感じられました。そうした旗振りがあちこちから聞こえてきている中で、それならば私も挑戦してみようと、2020年に挑戦し、取得したという経緯になります。

――G検定を取得して、どういった変化を感じましたか?

いくつか変化を感じていますが、特にAIの仕組みや種類を理解できるようになったことが大きいです。G検定の範囲なので、概要的な理解ではあったのですが、当社が販売しているツールしかり、社内で扱っているツールしかり、AI的な機能を持つツールに対しての理解が深まり、非常に使いやすくなりました。

――その後、さらにE資格に挑戦しようと思われた理由を教えてください。

山口が主催する(E資格取得を推奨する)勉強会に参加させていただく機会があり、その際、営業部門の方々がE資格取得に一斉に取り組むと知り、それならば自分も挑戦できるのではないかと思ったのがきっかけです。実際にテキストを見たときには、「大丈夫かな…」と戸惑いましたが、やると決めたからにはやり抜こうと奮起し、AVILENさんの学習プログラムに参加しながら、トータルで400時間ほど勉強し、資格を取得しました。

――G検定に加え、E資格をも取得した効果は、どういったところに現れていますか?

いろいろ効果を感じていますが、特に大きいのは、AIそのものへの理解が深まったことです。具体的には、AIというものが、いろいろな数学のルールを組み合わせて構築されていることを、明確に理解できたことですね。

それまではAIというものを、漠然とパッケージツールのように捉えていました。そのパッケージに情報を与えれば、アウトプットが自動で出てくるような漠然としたイメージです。しかしE資格を取得した後は、その入れた情報がどういった数学のルールに則り、最終的なアウトプットにつながっていくのかが明確にイメージできるようになりました。この部分を理解したことで、自社ツールと他社製品の違いも明確になり、お客様に正確に情報を伝えられるようになったと感じます。

また今後、新設されたAIビジネス推進課で、営業担当者に“案件化から受注まで”の部分を支援していく際に、例えば、お客様のユースケースの実現可能性を探ったり、PoCデータについてお客様に、それがいかに有益なのかといったことを説明したりするといったときにも、E資格の知見が大きな効果を発揮してくれると期待しています。

――今後どのようなキャリアを進むことをイメージしていますか?

G検定、E資格の取得を通して、お客様が保有するデータを通して、今まで見えてなかった側面から、お客様のことを理解できるようになりました。今後は、そうした視点からお客様の経営実態に迫り、より上流部分からお客様を支援できるような人材に、新設部署全体を含め、近づいていきたいですね。また、山口がいうような、これまでエンジニアに投げていた作業についても、E資格で得た知見を生かして対処し、「AIビジネスの加速」に貢献していきたいと思います。

――資格取得に興味のある方にメッセージをお願いします。

私は営業上がりでプロモーションを担ってきた人間です。そのため、もともとAIに興味があり、いつかAIモデルを作るなどの作業を担える人材になれればと思いつつも、E資格を取るまでは、エンジニアの仕事に距離があり、自分はその世界に挑戦することはないのかなと思っていました。しかし、そんな私でも、E資格にチャレンジすることで、自分自身でコードを書いたり、エンジニアの仕事の一端を担ったりできることがわかりました。E資格への挑戦は、仕事の幅が増えるのはもちろん、生き方の幅も増えることにもつながると思います。興味がある人はぜひ一歩を踏み出してみてください。

AI人材の増加が、会社全体の業績にも“好影響”を与えている

AI人材が増えることは、大塚商会全体の業績にどういった効果をもたらしているのでしょう。山口氏は、まだ社内でAI事業が占める割合は大きくないものの、AIへの理解が進むことで、徐々にAI関連ソリューションの売上は増えており、「今後の大きな柱に育てていける可能性が見えてきた」と胸を張ります。

G検定の挑戦者が増え、AIの網羅的な知識を持つ人が増えることは、社内にさまざま波及効果をもたらしているといいます。特にITリテラシーの高まりは大きな恩恵をもたらしており、営業担当者への信頼度が増すことで、「AI関連以外のITソリューションの提供につながるケースも増えてきている」とのこと。また、E資格の取得者が増えることについては、「専門的な知識を持った上でエンジニアと話し合いができる営業担当者の増加」につながるとし、それが結果として、「より価値のあるサービスの提供につながる」と期待をのぞかせました。

山口氏によると、今後大塚商会では、主軸となっているAI分析サービスに注力するほか、多数のデータサイエンティストを抱えるAIスタートアップ・AVILEN社と業務提携を交わし、さらなるAIビジネスの拡大を目指していくとのこと。
「そんな中で、G検定、E資格の保有者が増えていくということは、非常に重要な要素だと考えています。今後も引き続き、AI人材の育成に注力してまいります」(山口氏)

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