人材コンサルタントとして、業界を俯瞰して感じた危機感 学習することで「知の探究心が湧いた」

[G検定 合格者インタビューvol.12]ディープラーニング ×リスキリングによる自分磨き

領域特化型の転職エージェントとして、弁護士・経営人材専門の転職エージェント「アガルートキャリア」を運営しているファンオブライフ。同社に2022年4月に入社した眞山 裕介(まやま ゆうすけ)さんは、前職の総合人材サービスのパーソルキャリア時代にG検定を取得した。学習のモチベーションになったのは、新たな知識や情報を得られるというワクワク感と、人材業界を俯瞰して見たときの危機感からだった。人材コンサルタントにとって「技術面の知識は不要だ」という風潮もある中、学習を経て眞山さんが感じているメリットとはどのようなことなのだろうか。(2023/4/6追記 その後、ご転職により現在、株式会社 Izul(イズル))

G検定合格者プロフィール

G検定2022#1合格

眞山 裕介さん

株式会社Izul(イズル)

久々に“知の探究心”が湧いた学習

――G検定の存在を知ったのはいつごろですか?また、受験に至った理由を教えてください。

眞山:2020年の新型コロナウイルスの感染拡大により、在宅時間が多くなったタイミングです。当時は前職のパーソルキャリアに在籍していました。勤務形態がすぐに完全フルリモートへと移行したと同時に、社会経済全体も停滞してしまったため人材紹介の仕事も一瞬無くなってしまい、今までと異なる時間の使い方に変わりました。少なくともこの状況は半年~1年は続くだろうなと思ったので、その間にインプットをできる限りたくさんしておくことで、自分の価値になるのではないかと考えていました。

また、それ以前の2017年ごろ、ある勉強会に参加したときに初めて耳にしたのがシンギュラリティという言葉でした。AI技術の進化によって世の中が圧倒的に変わっていき、ゆくゆくは人類の知能を超えてしまう。それが自分の生きているうちに訪れるということを知り、恐怖とワクワクを感じました。シンギュラリティに立ち会う瞬間は、「自分が飲み込まれてしまう」という恐怖ではなく、せめて「見届ける」、できれば「操作する」という立ち位置にいたい。そう思っていたので、かねてからAIに興味は持っていました。コロナ禍で暇な時間ができて、「今こそ本格的に勉強するときだな」と思い学習を始めました。

そこでG検定の存在を知り、合格率の高さから「簡単なのだろう」と勝手な思い込みで2021年に初めて受けてみたのですが、見事に不合格。その後、JDLAが提供する無料エントリー講座「AI For Everyone(すべての人のためのAIリテラシー講座)」や、東京大学のAI経営寄附講座、東京大学エクステンションのジェネラスコース(現・ベーシックコース)などを受講するうちに、本格的に興味を持ち始めるようになりました。

――G検定に向けて学習されてみて、率直な感想はいかがでしたか。

眞山:大学は理学部数学科の専攻ではありましたが、微分積分もほぼ覚えてない状態でした。G検定の公式テキストを読んでも、最初は知らないことばかりで言葉が一切頭に入って来ず、本を1回開けたもののすぐ閉じたのです(笑)。ただ、公式テキスト以外の「AIによってどのように社会が変わるか」というテーマの書籍なども読んでいくと、言葉がどんどんわかるようになってきました。「わからない」から「面白い」に変わっていく瞬間があって、そこから学習はぐいぐいと進めていけましたね。

学習の際に活用したのは、公式テキストと問題集です。G検定に合格した友人が1人いたので彼にポイントを教えてもらったり、「Study-AI」の無料のオンライン模擬テストを受けたりしていました。また、『AI白書』でわからない言葉を調べて覚えるということもしていましたね。

――講座や書籍などを数多く活用されながら学習を進められたのですね。その熱意は、やはりAIやディープラーニングの面白さがわかってきたからこそだったのでしょうか?

眞山:俗にいう「知の探求心」が、久々に湧いた経験でした。これまでは、この世の中を大きく変えているのは、ドラえもんの世界のように「東大卒の天才たちがポケットから何か出して面白いことするのだろうな」と思っていた節があったのです。しかし、実際はそうではなく、世の中を変えているのは天才ばかりではないし、場合によっては自分たちもできるかもしれない。そんな気がしてくると、どんどん面白くなってきたので難しい内容も乗り込えていけました。

自らの人材業界を俯瞰して感じた危機感

――人材業界で働く人材コンサルタントの方たちは、眞山さんのようにG検定の取得を目指したり、DXやデジタル人材について知識を習得しようとしたりする風潮は高まっているのでしょうか?

眞山:クライアント企業のデジタル人材へのニーズは非常に高まっていますし、実際にマッチングのご相談を受けることも増えています。しかし、我々のようにマッチングだけを担うコンサルタント自身は、内容まで詳しく知る必要は無いのが正直なところです。例えば、技術者やエンジニアを斡旋するのに、私がプログラミングをできる必要は全くない。なので、コンサルタント自身がデジタル人材やデジタル技術に関する知識を得ようとする風土は、全くに近いほどないのが現状です。

――そういった風土もある中で、眞山さんがG検定を取ろうと思われたのはなぜだったのでしょうか。

眞山:一つは、先ほどの新たな知識や情報を得られることのワクワク感。もう一つは、今自分がいる場所を俯瞰して見たときの危機感からでした。

人材業界で働いていると、あらゆる業界を俯瞰して見ることができます。その中で、立ち返って自社の業界を見てみると、マネタイズできるサイクルがあって、ビジネスモデルが確立されているからこそ、そこに因われてしまって外の世界を見られなくなるのです。

システムのブラッシュアップは多少なりともしてはいますが、やることは結局変わっていない。外の世界で新しいビジネスや仕組みを作り出している人たちの活躍を目にしたときに、「自分も現状に満足して浸かっていてはダメになるな」と思ったのです。

私は今38歳でまもなく40歳。完全に「おじさん」と言われる年齢になってきましたが、今の10代・20代が今後さらに新しいことを起こしていくときに、一緒になって喋ることができないのは悔しいし寂しい。「俺たちが若いときの方が面白かった」ではなく、「そんな面白いことあるの、おじさんにも教えてよ!」と言えるレベルにいたいなと思っています。

――実際にG検定に合格されて、ビジネスに良い影響はありましたか?

眞山:当社(ファンオブライフ)はリーガル系に強みを持つ転職エージェントなのですが、それ以外の領域にもさらに事業を広げていこうとしています。私がこれまで培った人材紹介の経験を活かし、事業拡大を目指すプロジェクトを担うコンサルタントとして入社したという経緯があります。

前職のパーソルキャリアで携わっていた建設・不動産グループに加えて、携わったことはないのですがIT系のエンジニアやDX推進のコンサルタントという領域の方たちの案件をやってみたいと考えています。会社からは「好きな領域を任せる」と言われていますが、「G検定合格したんです」「AIに詳しいです」と言えることで、相手に熱意を理解してもらえる一つのきっかけになっているとありがたく思っています。

前職時代には、G検定を取得したときは「眞山、いろいろなことを勉強していて偉いね。でもそれって今の仕事に役立つんだっけ?」と言われたこともあります。確かに、人材コンサルタントとして知識が直接役に立つ場面があるというと、明確にはありません。「学ぶよりも慣れる」ことと、マクロ経済を喋れるテクニックが重要視される仕事で、技術に関しては一切知っておく必要がないんですよね。

――「仕事に役に立たないのでは」と言われてしまったとのことですが眞山さんご自身は学習して良かったと思っていますか?

眞山:もちろん思っています。確かに、G検定に合格したからといって、仕事が増えたり、何かを作れたり、給料が増える、というわけではありません。しかし、単純に知らないことを知る欲求を満たすことができましたし、AI経営寄附講座を受講した方とのつながりができてコミュニティも広がりました。そういった場でビジネスパーソンと話す上でも、全く知識がなければ相手もしてくれませんが、「一応G検定を取った」ということで同じ土俵で話ができます。日経新聞を読んでいても、「これってもしかして、あの会社のこういった技術を応用しているのかな?」とわかるようになってきて、詳しくない業界のこともリアルに聞こえてくるし、講座で先生が言っていたことと紐づく瞬間がある。人類の進化や時代の潮流が変化する様を、手触り感を持って感じることができているのはとても楽しいですし、結果的にビジネスでも大きく役立っていると考えています。

レガシーな不動産業界のDX推進には

――近年、DXやAI活用推進により、各業界でIT・デジタル人材の需要が大きく高まっています。人材コンサルタントとして、眞山さんはこの潮流をどのように捉えていますか?

眞山:前職のパーソルキャリア時代に担当していた不動産領域は、「契約は印鑑だ、紙だ」という世界で、特にレガシーな人が多い業界です。経営者同士の話の中でDXという言葉を知り、よくわかっていないまま「うちもDXをやるよ」「とりあえずDX人材を獲得してきて」とご依頼を頂くのです。しかし、その目的も曖昧ですし、そもそもDXを本当に必要としているのかも明確ではありません。不動産業界全体をみても、DXで何をしたらいいのか、どういうDXが必要なのかをきちんと答えられる人はあまりいないのではないでしょうか。

業務効率化を進めるために、多額のコンサルタント料をかけて依頼している企業をよく見かけます。しかし、それで何かうまくいったのか、エンドユーザー側でポジティブな変化を起こせているかというと、あまりそういう感じも見受けられません。接客時間が少し短縮されたなど、その程度ではないでしょうか。

それでは寂しいし、つまらないし、もったいない。さらに先を考えた方が面白いと思います。私が思う、これから不動産業界がやるべきことは、それこそのび太くんがドラえもんにお願いするような「不動産業界がもっとこうなったらいいな」という夢を描いて発信することだと思います。その夢を、別に彼らが自らの手でやる必要はなくて、その領域が得意な方々にやってもらえばいい。そのマッチングを、私たちが担っていきたいなと思っています。

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