エンジニアがE資格で得たスキルを活かすには? AIは「従来の知識でカバーできない」だからこそ高まるニーズ

[G検定 合格者インタビューvol.14]ディープラーニング ×エンジニアのキャリアパス

ソフトウェア開発を行うSky株式会社で、エンジニアとして受託開発などを担当している進藤 孝司(しんどう たかし)さん。前職時代に、AI・ディープラーニングの必要性の高まりと、新しい技術への興味関心から、いずれも第1回目の開催だったG検定とE資格を取得。その後Sky株式会社に転職し、AIを活用した自社製品の開発にも携わっている。そんなAIエンジニアとして活躍する進藤さんに、E資格取得後の業務での活用方法や、AI・ディープラーニングを学んだ先のキャリアパスの可能性について聞いた。

G検定合格者プロフィール

G検定2017#1、E資格2018#1 合格

進藤 孝司さん

Sky株式会社 クライアント・システム開発事業部

G検定・E資格ともに第1回目を受験、合格

――まず、現在のお仕事内容を教えてください。

進藤:弊社は自社パッケージ製品の開発・販売と、受託開発事業の2つの事業体で成り立っています。私は、後者にあたるクライアント・システム開発事業部に所属し、エンジニアとして働いています。具体的な業務内容は、プログラムを書くことはもちろん、プロジェクトのマネジメントを行うことや、技術アドバイザーとしてスポット的に案件に入ることもあります。

2022年1月に発売した営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」にも携わっています。名刺画像をもとに情報をデータ化したり、オペレーターがデータを入力・修正したりする際に、AI-OCR やディープラーニングを活用しています。

――G検定・E資格を受験したきっかけを教えてください。

進藤:受験したのは前職のときです。前職では、Webアプリやスマホアプリをつくるエンジニアをしていました。当時は第3次AIブームの真っ只中で、新聞などのメディアにも「AI」「ディープラーニング」という言葉が出るようになり始めたころ。前職の会社でもAI活用の方針を掲げて、技術者の育成を始めていました。私も元々新しい技術は好きでしたし、AI・ディープラーニングには非常に興味を持っていました。また、その時点ですでに情報セキュリティスペシャリスト(現 情報処理安全確保支援士)試験やネットワークスペシャリスト試験などを取得していたのですが、「体系的に学ぶには資格勉強が近道だ」という考えも持っていました。

社内アナウンスでG検定やE資格という資格ができたことを知り、社内の同僚たち数人とともに、G検定第1回目となる2017#1を受験。私はエンジニアであることにこだわりを持っていて、本来はE資格を受けたいと思っていたのですが、まだその時点ではG検定しか受験できなかったんですよね。その後、E資格も第1回目である2018#1を受験しました。

――当時のG検定は公式テキストもありませんでしたが、どのように勉強されていましたか。

進藤:G検定を受験する時点で、業務でAI・ディープラーニングを使っていたため基礎知識はありました。G検定は持っている知識で対応することができました。歴史や法律・倫理の範囲は『AI白書』で勉強しました。

――G検定の学習時点で、AI・ディープラーニングを業務で活用されていたんですね。学生時代からその領域に接点があったのでしょうか。

進藤:いえ、学生時代には接点は全くありませんでした。先に述べたとおり、AIブームで会社がAI活用の方針を掲げたため、勉強を始めていました。当時も受託開発でシステム開発の仕事をしていたのですが、お客様から偶然AI関係の仕事をいただく機会もあり、その中で勉強をしていくことで、知識を身につけていった感じですね。

――E資格は、認定プログラムを受講して知識問題と実技課題を修了したのち、選択式の試験を受験するという流れになっています。この形式はいかがでしたか。

進藤:認定プログラムの内容は想定通りで、そこまでハードルは高くなかったように感じました。私が想像するエンジニアとして必要な知識・スキルを扱っていたと思います。

ただ、当時教科書のような扱いだったイアン・グッドフェローの『深層学習』という分厚い本がありましたが、そちらの内容はとても難しく、「これを100%理解しなきゃいけないのか」と思うと大変でした。本番の試験も、認定プログラムと比べると難易度は高かったですね。ただ、出題形式は工夫されているなと思って、プログラムの穴埋めをするような問題もあり、扱っている知識は難しいけれども、きちんと理解していたら応用的に考えて解ける問題になっていたように思います。当時としては、AI・ディープラーニングのエンジニアとして活動するのであれば「ちょうど良かったな」というのが率直な印象です。

E資格合格後も、随時必要な知識・スキルを習得

――E資格の合格者が、AI・ディープラーニングのプロジェクトに関わるとなったとき、追加で学習しなければならないことはどのようなことがあるのでしょうか。

進藤:ディープラーニングの活用の分野は多岐にわたります。例えば、画像認識分野は、前提知識として従来の画像処理の知識がなければ、画像の前処理をやろうにもうまく対応できない可能性があります。そういった内容はE資格のカリキュラムに入っているわけではありませんし、私の場合は業務の中で調べながら習得していきました。E資格に合格したからといって「じゃあ明日から持っている知識を使って対応できるか」というと、それだけでは足りないのかなと思います。

一方で、認定プログラムの中にある実習は、実務で使う部分、特に精度を上げて学習してチューニングするというところを実際にやることができます。「机の上で勉強だけしてきました」という人よりも、例えばE資格を取得した方が同じチームに来た場合、「とりあえずチューニングの経験はあるんだな」と思います。当然、資格の勉強だけで実務の知識が全てカバーできるかというとそうではありませんが、認定プログラムの中に実技が取り入れられているのは良い点かなと思っています。

――E資格の合格者が新しくチームにやってきたときや採用候補者の中にいた場合、その方の人材像はどのように受け止められますか。

進藤:「やる気のある方なんだな」と思います。認定プログラムはそれなりの費用がかかるので、その費用を払って自分で勉強したということなので、悪い印象は受けません。

――E資格を合格された後、ご自身で勉強された分野・領域はありますか。

進藤:私の場合はディープラーニングが実務に入っていたので、業務に関係するものは適宜勉強しています。最初は様々のテーマを扱っていて、画像認識AIを担当したときは画像処理の勉強を、自然言語処理AIを担当したときは、自然言語処理の周辺の知識を勉強していました。

また、“AI”というくくりで仕事をしていると、数値データの解析などディープラーニング以外の手法が必要な場合も当然出てきますし、機械学習の新しいアルゴリズムを勉強しなければならないこともあります。エンジニアとして業務を進める中で、必要な知識・スキルを随時勉強してきた形ですね。

――ご自身で継続学習をしていくにあたり、同僚の皆さんと情報共有されたり、またJDLAが主催するG検定・E資格の合格者のみが参加できるAIコミュニティ「CDLE(シードル)」を活用されたりする機会はありますか。

進藤:会社で業務としてAI・ディープラーニングを扱っているため、自然と情報は入ってきます。また、以前大阪に住んでいたときからCDLE関西に所属していて、東京に引っ越してきた今も続けています。さらに、認定プログラムを受講した際にできた友人とは、一緒に勉強したりすることもありました。 AIに興味がある人同士だと、つながりはできやすいのだと思います。

自分でもキャッチアップしなきゃいけないので、AIのポータルサイト「AI-SCHOLAR」をブラウザの初期画面に設定して、強制的に目に入るように工夫しています。

「G検定は経営層やビジネスサイドの人こそ受けてほしい」

――E資格合格者や技術を持っているエンジニアが、ビジネスサイドの人と話が合わず、「AI活用のプロジェクトを進めようと思ってもなかなか進められない」という話はよくあります。エンジニアがビジネス思考を持つべきなのか、それともビジネスサイドの人間がエンジニアと会話できるだけのリテラシーを持つべきなのか。進藤さんはどちらの必要性が高いと思われますか。

進藤:そもそも私が所属しているSky株式会社という会社は、「商売」という言葉を重視していて、エンジニアであっても1人1人が「商売」の意識を持つことが求められます。エンジニア自身が顧客との交渉を考えたり、情報を集めて新しい商売の提案をしたりすることも、他の会社さんと比較しても明らかに多い会社です。

そのうえで、G検定は、ぜひ経営層の方やビジネスサイドの方に受けていただきたいなと思っています。前職時代、「AIに興味がある」というお客様への営業に同行した際、夢物語ばかり語られてしまうことがよくあり、「もう少し前提知識を揃えてコミュニケーションが図れれば、もっとうまく進められるのに」と思ったこともあります。また、通常のシステム開発案件と比べると、商談のほとんどの部分をエンジニアである私が進めることになるケースも多かったと思います。営業担当者の方でも、さわりの話ができる程度の知識を持っておいていただけたら、開発の時間を営業活動の準備のために割かずにすむので、助かりますね。

――E資格の取得をおすすめするならば、特にどういった分野のエンジニアの方におすすめしたいですか。

進藤:私自身がまさにちょうど良いエンジニアだったのかなと、振り返ると思います。つまり、元々は別の分野(Webやモバイルのアプリ開発)をやっていたけれど、ディープラーニングで学習させるまでやりたいと思っているエンジニアのことです。E資格を取得することで、必要な知識を身につけられるのかなと思っています。

――ディープラーニングを学ぶことで、元々の素養と掛け合わせでより活用しやすいエンジニアの職種はありますか。

進藤:データエンジニアですかね。ディープラーニングまではいかなくても大規模なデータの加工処理をすることはあるので、データ系の経験のある人はいいかもしれないですね。

最近はクラウドの知識が非常に重要になっています。実際に、「機械学習と運用の一体化・効率化をする「MLOps」の仕組みをクラウド環境に構築して欲しい」という案件が非常に増えています。それはAIを知っているだけではダメですし、クラウドのことが何もわからなければどうにもなりません。クラウドのエンジニアなら、「ディープラーニングではどういったデータが出力されるのか」「どういったデータで学習させたらいいのか」まで知っておくと、「MLOps」の環境構築を上手くやれるんじゃないかなと思います。

――AI・ディープラーニングを学んだ先のキャリアパスの可能性について。進藤さんは、Webやスマホのアプリ開発をされていたところから、AIを学んで専門にされています。今後キャリアを積まれていくとき、目指しやすいところはどういったところになりますか。

進藤:まず、ITエンジニアとしてまったく別の分野のキャリアに進むということはやや考えにくいのかなと思います。これまでITの世界でいろんなブームがありましたが、一般的なITエンジニアの観点からすると、その中でAIは特殊だと思います。それは、知識で重なる部分が少ないからです。例えば、今までデスクトップのアプリを作っていた人がWebアプリの開発に携わるようになったとき、従来の知識は応用できましたし、スマホが出てきたときにWebアプリ開発の知識を応用しやすかった。しかし、AIとなったとき、それまでの知識でかぶる部分があるかというと、実はあんまりありません。なので、エンジニアとして他の分野に進みやすいかというと、むしろ遠いものなのかなと思います。

ただ、ご承知の通りAI・ディープラーニングはデータを扱うものなので、データに対して強くなる。データを使う技術があるということは、風呂敷を広げると例えば、データに基づいた経営に活かせるのではないかと思います。実際に、きっちりデータを見て話してくれる経営者のことは信頼できますし、そういったところにはつながっていくのではないでしょうか。

――進藤さんの今後の展望を教えてください。

進藤:現在すでに複数の案件で技術アドバイザーとして関わっていますが、今後も技術の面倒をみることをやっていきたいなと思います。

機械学習は他の分野と要素がかぶるところが少ないという話もしましたが、社内で誰しもができる技術ではありません。もちろん育成はしていますが、AIを触れる人が何人もいるわけではなく、しかし案件は続々と来ます。そういったときに「とりあえずここだけ押さえてもらえれば対応できます」「その部分はこういうふうに作ってください」というアドバイスをして、会社でAIに関わることの技術的全般の面倒見るというポジションにいられたらいいなと思っています。

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