AI総合研究所による実践志向のAI人材育成サービス「iLect」

E資格認定プログラム事業者インタビュー
認定No.00010 NABLAS

現在、JDLAには20社近くの「認定プログラム」が登録されています。各認定プログラム実施事業者が強みや特徴を活かして、人材育成に取り組んでおられます。本シリーズでは、E資格認定プログラム事業者へインタビューし、認定登録された経緯や各プログラムの特徴をご紹介していきます。

認定No.00010は、NABLAS。

NABLAS社が提供するAI人材育成サービス「iLect」。AI総合研究所として日々実データと先端AI技術を取り扱う中で得られた知見を元に講座の開発をしており、実務への適用を念頭に作られた実践的なプログラムの他、ユニークな学習の仕組みを通じて、高い技術力を持った人材育成を目指しているそうです。実践的な技術が身につく講座とはどのようなものかお話を聞きました。

代表取締役 所長

中山 浩太郎 様

iLect Academy Principal、人工知能学会 代議員
学生時代には(株)関西総合情報研究所を設立・代表取締役を務める。大阪大学大学院情報科学研究科博士号取得後,大阪大学情報科学研究科特任研究員,東京大学知の構造化センター・東京大学大学院工学系研究科助教/講師などを経て現在に至る。専門はAI、知識処理、Webマイニング、大規模計算。

iLectコーディーネーター

川崎 竜一 様

「AI人材教育事業iLectのコーディネーターとして講座全体の監修、運営、構成コンサルテーションを担当

iLectコーディネーター

佐野 まふゆ 様

「AI人材教育事業iLectのコーディネーターとして講座全体の監修、運営、構成コンサルテーションを担当

認定講座の特徴について教えてください

(コンテンツ)

E資格試験向けの講座の「Deep Learning講座」(通称:DL4E(Deep Learnig for Expert))を始めとして、iLectが提供する全てのコンテンツは、社内で監修・開発しています。社内には、コンテンツを開発するチームがありますが、東京大学でDeep Learning講座・データサイエンティスト育成講座などのAI系講座の立ち上げ・運用に長年関わってきた経歴を持つ代表の中山(代表取締役 所長 / iLet Academy Principal)が直接リードしています。また、機械学習分野での研究実績やAI技術の開発実績が豊富にあるスタッフが中心となってコンテンツを開発しています。

コンテンツは、こうした高い学術的な知識と実践的なプロジェクトの経験があるスタッフが開発することで、常に最新の知見を入れつつ、実践的なものになるように取り組んでいます。また、世界中のAI技術者が競いあう「Kaggle」というコミュニティなどで世界的に活躍しているメンバーが弊社には在籍しておりますが、そのうちの数名がコンテンツ制作を担当しており、その知見と技術を活かしてコンテンツを実践的なものにするために尽力しています。

講師陣は、講師としての経験が豊富なメンバーで構成しており、解説がわかりやすいとご評価いただいておりますし、機械学習、深層強化学習など分野ごとに精通した現役のリサーチャー等も担当しています。講義の際には、講師の実務上の経験を受講生に共有しているほか、質問にも最新技術や実践的な経験に基づき対応しています。

また、講義ごとにアシスタントがいるので、質問がある場合はサポートを受けることができます。東大を始めとして先端的な研究機関で研究開発に従事した経験があるものがアシスタントをすることが多く、こちらもわかりやすいと、この点もよく評価いただいているところの一つです。

(学習方法)

iLectの講座では、「同期型」の講義を大切にしています。「同期型」とは、わかりやすく言いますと、教室に集まって一斉に授業を受けるようなスタイルで、受講生が全員、タイミングを合わせながら同じトピックを学びます。オンラインの講座の多くがいつでも開始・修了できるスタイルを取っていますが、そのような方法とは対照的です。この方法は、受講生の集中度や、知識の共有、仲間がいることで学習へのモチベーション維持などの面で効果があり、高い学習効果があることがわかっています。現状では、新型コロナの影響もあるので、一箇所に集まる形で開催することは難しく、オンラインで「同期型」の講座をご提供させていただくことが多いですが、リクエストがあれば、企業様の研修施設での開催や、弊社の教室施設「iLectスタジオ」で受講することも可能です。

各講義には、受講生同士が自身の作成したAIのモデルのスコアを競い合う「コンペティション型」の演習課題がある点は、他の講座にないユニークなポイントだと思っていますし、導入いただいた企業様からは高い評価をいただいている点です。実用的なAIを作るためには、データを分析・整形し、AIのモデルを学習させ、性能向上のための工夫をする、という一連の流れを繰り返す必要がありますが、AI分野において実践的な知識や技術を修得するためには、この一連の流れを講座の中でしっかりと経験することが大事だと考えています。これにより、講座が終了した後でも自分で技術調査やモデルを改良し続ける力が身につきます。また、コンペティションが終了した際には、互いの開発手法や知見を共有するセッションを設けており、知識を共有しながら全体としての学習効果を高める工夫もしています。人に教える、ということは知識や技術を体得するための最良の方法の一つとして知られていますが、iLectの講座ではこの考え方を講座の設計に取り入れています。

なお、演習問題に利用する開発環境は、ログインするだけで利用可能で、自身で環境を構築するために時間をかけたり苦労する必要はなく、本題に集中して学習を進めることができます。また、演習の環境には世界中のAI技術者が利用している本格的な開発環境(Jupyter Notebook)を利用しており、この講座で得られた技術やAIモデルの構築方法は、そのまま即時に業務に活かせる形になっています。

(学習時間)

DL4Eは、各講座7,8時間×6日間の構成です。これに加えてモデル開発の課題の時間が各自あるので総学習時間は、50時間程度になると思います。ただ、講座の時間はただ長ければいいわけではないと考えています。理論だけでなく、手を動かして実践的に学ぶことが大事ですので、講義内でも座学だけでなく演習時間も長くとってあります。また、上述のとおり、我々の講座では「コンペティション型」の演習を通じてAIモデルの性能を高めることで、実用的な技術を身に付けるように設計されています。そのため、さらに時間をかけて調査をされ、いろんなテクニックや工夫を入れて高い性能を目指される方も多くいらっしゃいます。

法人研修の場合、内容や講義の期間をカスタマイズして提供する場合が多いです。企業様の目的や受講者様の状況、業務の都合などに応じて、ある程度内容と開催期間などを調整して提供させていただいております。

DL4Eではどのように実践的な技術を習得することができますか。

DL4Eは、資格試験向けの講座ではありますが、実学・実践を重視しており、学んだことを実務に活かせるように演習問題を多く取り入れています。これは、座学で理論を学ぶことも重要ですが、手を動かしながらディープラーニングを「実務」で取り入れる知識と技術を習得してもらいたいためです。また、カリキュラムの内容にも、実際の事例を取り入れて実務を意識できるようにしています。E資格取得に向けた学習を通じて、実践的なエンジニアとして活躍できるよう「実務」は強く意識しています。

また、講師たちは現役のエンジニアとしてディープラーニングを活用したシステムを開発している者たちが担当しています。受講生は、現場での経験や活用の事例や方法について直接話を聞くことができることも、高く評価いただいております。

受講生にどのような方が多いでしょうか。

DL4Eは、主に法人研修として提供させていただいております。受講の際には、受講できるレベルのスキルを持っているかをチェックする独自のシステムを開発しており、標準のサービスとして提供させていただいております。具体的には、数学に関する基礎知識やPythonでのコーディング、Numpyという重要なライブラリが使えるか、といったことをチェックします。講座によっては課題などの難易度が決して低くないものがありますので、事前にスキルチェックを行うことが大事です。この結果は、受講いただくかの判断材料にしていただいたり、講座開始までの準備に利用いただいております。

また、講座としての学習効果を高くするためにも、受講生同士の知識や技術のレベルを事前に合わせておくことは重要です。これは、講師としても高い品質の講義を提供するためには、受講生のレベルに合わせてトピックを絞って調整することが重要だからです。なお、機械学習の基礎などで知識に不安がある方には、別の講座でフォローすることもできます。

我々の講座を提供させていただいている業界は製造業から、金融、IT系、電力など、本当に多様です。職種も、企業の人材育成方針に応じて、技術職の方から管理職の方まで、幅広く提供させていただいております。なお、企業によっては、E資格試験対策の枠を少し超えて、業界に特化したディープラーニングの実情など付加的な内容を追加するよう要望されることもあります。このようなカスタマイズに対するリクエストへは、可能な範囲で柔軟に対応していますし、カスタマイズ可能であることも、人材育成サービスとしてのiLectの特徴の一つだと考えております。

強みはなんだと思いますか。

NABLASは、「AI総合研究所」として研究開発および人材育成に取り組んでおり、ディープラーニングをはじめとするAI技術への知見や経験については、常に最先端レベルのものを有していると自負しています。

また、前述のとおり、企業の要望に応じて期間や内容について柔軟にカスタマイズできるため、先端の知見を研修にも最大限活用できる点も強みかと思っています。

他にも、我々の講座は「人材発掘」につながるとも考えています。前述の通り、受講生同士が競いながらAIモデルの性能を高める「コンペティション型」の演習・課題が我々の講座のユニークなポイントの一つですが、この取り組みから、受講生の潜在能力や素養を知ることができます。この結果、企業側でも把握していなかった「意外な人」が、高い能力を持っていると発見できることが多々あります。

今後、多くの企業においてはAI人材を「育成」するという考え方と同様に、AI人材を「発掘」する、という発想も大事になってくると考えています。そのような取り組みに、我々の講座を使っていただければ嬉しいと考えています。

JDLAに参加した経緯を教えてください。

NABLASは、E資格が広く知られる前からディープラーニングを学習するための講座を開設していました。世界的に見てもAI人材の不足はAI業界の深刻な課題であり、高い技術力がある人は限られているため、新規に獲得するためには多くの負担を伴います。そのため、日本でもAI人材、特に先端的なディープラーニング技術を持った人材を育成することを重要視する企業が増え始めました。その結果、E資格への認知が高まる中で、NABLASも対策講座を開いてほしいとの要望を受けるようになったため、参加いたしました。

ディープラーニングの領域は変化が著しく、先月の情報が古くなることもあります。変化が速い中、E資格試験で取り扱う基礎理論的な部分と、先端的な知識や技術について、バランスを取りながら講座を提供することが大切だと思っています。我々にとって、受講生のみなさんがE資格を取得されることは当然大事にしていますが、そこを最終目的にするのではなく、さらにその先のディープラーニングの実践的な活用を進める力を身につけられるように、講義に取り組んでいきたいと思います。

最後にメッセージを!

AI技術、特にディープラーニングの技術は、今も急激な進化の過程にありますし、驚くほど多くの場面で社会を変化させています。E資格を取得し知識を得ることで学びが終わるわけではありません。実際の現場で学んだことをどう活用するのか、が大事です。ディープラーニングなどの技術を実践し、価値につなげるという長い道筋で考えますと、E資格に向けて学ぶことや、資格を取得すること、ようやく入口に立った状態です。得られた知識や技術を活用する中で、更に多くの学びがあると思います。

NABLASには、AI総合研究所でならではの先端的な技術や知識、経験が豊富な講師やアシスタントが多くいます。この急激な変化の時代において、皆さんが変化に対応される中で、我々を活用していただければ幸いです。

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