技術の融合を実現するAIエンジニアを育成し社会発展へ貢献

E資格認定プログラム事業者インタビュー
認定No.00012 VOST

現在、JDLAには20社近くの「認定プログラム」が登録されています。各認定プログラム実施事業者が強みや特徴を活かして、人材育成に取り組んでおられます。本シリーズでは、E資格認定プログラム事業者へインタビューし、認定登録された経緯や各プログラムの特徴をご紹介していきます。

認定No.00012は、VOST AI研究所。

製造業の技術者を育成してきた経験から、短期間でAIエンジニアを育成するプログラム(E資格)を提供し、実務で活躍できるAIエンジニアを育成しています。実際のプログラムの特徴などに加えて、AIとその他のスキルや技術を掛け合わせる重要性についてお話を聞きました。

最高技術責任者

三谷 大暁 様

1984年鳥取県倉吉市生まれ。横浜国立大学出身。3D CAD/CAMソフトウェアやIoTを通じた製造業向けの「設計から製造」までの効率化から、AI機械学習を用いた経営問題の解決など、幅広い業種へ多数のコンサルティングの経験を持つ。直近では手塚治虫AIプロジェクトの「TEZUKA2020」にてプロジェクトマネジメントを担当。株式会社VOSTの立ち上げメンバーで、最新の技術を複合的に融合し、わかりやすく伝えることをモットーに活動している。

認定プログラムの特徴を教えてください。

(コンテンツ)

株式会社VOSTは、教材の内容から講義方法にいたるまで「わかりやすさ」を追求しています。AIをはじめとする最先端の技術は、なるべく速く現場で活用されることが重要です。教材では、数学などの基礎知識を全て一から学ぶことよりも、実務で必要な範囲に絞って凝縮しています。また、カリキュラムは、理解がしやすいように細かく説明しており、復習しやすくなっています。

また、教材作成と講義は、現役のAIコンサルタントが行っています。コンサルタントとしてのスキルが高いので、「わかりやすい」説明と、実務と紐付けた説明をすることができます。学習内容をステップバイステップで細かく分けて、受講生がつまずかないように解説しています。さらに、講師は、コンサルタントとして企業で業務を進めているので、学習内容が実務の現場でどのように活用できるか、もしくはできないのかについても説明しています。

なお、わかりやすさを追求する一方で、情報の正確性など、質の保証をするために、東京大学大学院情報理工学系研究科AIセンターの松原仁教授や慶応大学理工学部の栗原聡教授に教材の監修をしていただいてます。

(学習方法)

学習方法には、集合研修またはウェビナーでのハンズオン講義、eラーニングの3つから選択することができますが、現状では、コロナの影響で集合研修を選択される方が減ってきました。ただ、創業以来、社内はフルリモートの働き方や講義を導入していたので、オンラインのハンズオン講義になっても、大きな影響は受けませんでした。むしろ、ZOOMなどのオンライン上で受講生に集中して学習してもらうためにはどうしたらよいか、独自のノウハウがあります。例えば、質問の聞き方やオンラインのホワイドボードの使い方などがあります。多くの講師は、こうしたオンライン講義に関するテクニックを用いて講義を効果的に行っています。

また、リアルタイムでのオンライン講義が難しい人や復習をしたい方向けに、独自のeラーニングシステムを構築して提供しています。eラーニングの教材は、講義の様子を録画したものを再編集しており、講義中の他の受講者の質問により気づきを得ることができるので、講義の録画には個人情報に配慮した上で質問時間やそのやりとりも含めています。そのため、集合研修やウェビナーと同じ効果を得られます。なお、eラーニングの場合は、細かく時間を分けるなど学習しやすいようにしています。

受講者の方の学習タイプ(一人でもしくは集合形式)に応じて受講ができるよう選択肢を用意しています。

(学習時間)

事前学習に8.5時間、ハンズオン講義に24時間で学べるようにしています。このほかに、試験対策や自己学習(復習)の時間が加わります。ハンズオン講義は4日間で行われます。技術を最短時間で習得して実務に活かしていくことが重要なので、講義の内容も凝縮しています。また、自己学習の時間も大事にしています。AIをはじめとするエンジニアは、新しい技術や情報を自分で調べて常に学んでいかなくてはなりません。E資格にむけた自己学習の時間を経験するのをきっかけに自発的に「学ぶ」ことができるエンジニアになってほしいと思います。

ただし、あまり学習時間が長くなりすぎると、習ったことも「古い」技術になってしまう恐れがあります。伝統的に何十年も変わらない技術であれば、突き詰めて深く学習することもできますが、AIの領域では常に変化が著しいので、学習時間は短く内容を凝縮するほうが、実務での活用が進むと思っています。

受講生にはどのような方が多いですか。

以前は製造業のエンジニアでの方が多かったですが、最近ではIT業界や製薬業界、建設業界や金融業界など様々な業種の方も増えています。また、個人のキャリアアップとして文系出身の方や法人研修として参加する場合もあり、様々です。ただ、ほぼすべての受講生の方が、「資格取得」だけを目的にされていません。もっとその先を見越されています。AI技術や知識を現状の職場や仕事で活用することを見据えていらっしゃいます。受講生によっては、大掛かりなAIシステムまでは必要ではなく、現状のサービスや商品に簡単な機能を加えたいなど、具体的なAIの活用への課題意識を持っている人もいます。

今後は、個人としてのキャリアアップを目指す人や、エンジニア以外の方にもどんどん挑戦してもらいたいと思っています。VOSTには、最新技術情報を公開するメディアサイトがあり、現時点でAIに深い興味を持っていない人でも、最新のAIの情報をキャッチアップできるようになっています。技術をブラックボックス化せずに、広まっていくことがAI全体の底上げになるので大事だと思っています。

E資格を取得後、実務で活躍していくためには何が必要ですか。

E資格の取得は、AIエンジニアの基礎であり、これから技術を学び続ける入口と言ってもいいでしょう。E資格試験では、大掛かりなプログラムを開発する技術は出題範囲ではありません。まずは、しっかりAIの基礎を学ぶのがE資格試験向けの講座の役割だと思います。そして、次にさらに複雑なAIプログラム構築について学習したい場合には、応用系の講座を受講するのが良いと思います。応用系の講座で用いている教材は、講習で使用したモデルを実際のプロジェクトでも流用できるようにしてあるので、そのまま現場ですぐに活用していただけると思います。

E資格向けの講座を受けて、知識や情報を学ぶことも大事ですが、継続的に自ら学び続けることも、技術を実務で活かしていくためには大事だと思っています。技術は、日々進化しています。4、5年前までは、IoT、今やAR、VR、これからは5Gなど、年々新しい技術が生まれています。10年前、アプリ開発ができるエンジニアはあまりいませんでしたが、今やあたりまえです。

VOSTは、「技術の融合」を理念としています。技術と技術を掛け合わせることで、新たな価値が生まれると考えています。実務で技術が活用されていくには、エンジニアが常に技術を学び積み重ねて、それぞれの技術の掛け算をうまくできるようになることが重要だと思い、それができる人材を「テクニカルジェネラリスト」と呼んでいます。テクニカルジェネラリスト育成を目指し、AI以外の技術も複合的に学んでいただける仕組みを作っています。

時代の変化のスピードも早いので、自ら学ばなければ、時代に取り残されていきます。まだ世に出ていない技術でも率先して学んでいくぐらいの意識が大事です。

今後、AIエンジニアが増えてくる中、差別化して生き残っていくためにも「AI」だけでなく、新しい技術を組み合わせたり、付加的なビジネススキルを取得したり、自ら先を見越して成長していくことが重要です。テクニカルジェネラリストとして幅を広げることが今後とても重要なことになると感じています。

貴社の強みについて教えてください。

株式会社VOSTは、製造業向けに設計や製造の効率化を目的にテクニカルコンサルティングを提供していた経緯から、製造業の業界知識や経験があります。事業としては、AIシステムに関するコンサルティングや人材育成事業に力を注いでいます。実践的なAI技術の活用を広げるのに、受託開発だけでは数に限界があります。しかし、人材育成事業とコンサルティングを通じて、実践的な開発ができる人材を数多く輩出することができ、日本の会社がAI活用に向けて自走できるようになると考えています。社内にAI技術や他の技術やスキルを掛け合わせた人材(テクニカルジェネラリスト)が増えることで発展していくことができます。

なお、コンサルティングを提供するときも、人材育成のプログラムは欠かさず取り入れてもらうよう提案しています。

また、人材育成プログラムは、「短時間」で技術取得ができるように設計しています。時間にこだわるのも、実務での活用を意識しているからです。時間をかけすぎて学んだ技術が古くなってはもったいない。特に、E資格については、すぐにでも職場での活用を目指して欲しいので、時間にはこだわっています。

JDLAの認定プログラムに参加した経緯は何ですか。

製造業の現場からAI人材育成に関する要望があったので、E資格が登場する前からAIやディープラーニングの講座は提供していました。E資格は、対外的にわかりやすく知識や技術を示すことができ、現場のニーズにも合致するので参加することにしました。

また、AI技術が広がって社会全体が発展していくためには、知識や技術を持った人材も増えていく必要があると考えており、資格制度は拡大するために適切な仕組みだと思っています。

今後は、AI技術がエンジニア以外の職種にも広がり身近になってほしいと思っています。異業種の方にもAI技術が広まり、実際に業務の中へ取り入れることで新たな価値が生まれると思います。

最後にメッセージを!

日々、新しい技術が生まれてくる中、間違いなくAIは中心的な存在になっていくことは間違いないと思います。そして、今後もさらにこれまでなかったような、新しい技術も出てくるはずです。常に状況は変化していきますが、社会を発展させていくためにも、新しい技術を学ぶ人をどんどん増やしていきたいと思っています。新しい技術に挑戦し、活用しいく社会の方がワクワクするでしょう。日本を盛り上げていくためにも、AIを始めとする新しい技術を一緒に勉強していきましょう!

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