数学が苦手でもまずは試して。じっくり学び自走できるエンジニアの育成を目指す。

E資格認定プログラム事業者インタビュー
認定No.00013 すうがくぶんか

現在、JDLAには20社近くの「認定プログラム」が登録されています。各認定プログラム実施事業者が強みや特徴を活かして、人材育成に取り組んでおられます。本シリーズでは、E資格認定プログラム事業者へインタビューし、認定登録された経緯や各プログラムの特徴をご紹介していきます。

認定No.00013は、すうがくぶんか。

従来より数理のスクールとして定評があり、学ぶ楽しさを伝えて続けています。数学が苦手でも実はディープラーニングを学びE資格も取得しているそう。実際のカリキュラムの特徴や継続的な学びの重要性につきお話を聞きました。

内場 崇之 講師

福岡県出身。学生時代から株式会社すうがくぶんかで数学の講師をしつつ、2015年に早稲田大学で数学専攻の修士課程を卒業、統計検定1級(人文科学優秀者)を取得、マーケティング領域でのデータサイエンティスト、製造系領域で機械学習の技術顧問を経て、現在はすうがくぶんかの教務部長をしています。今の仕事は、講師をマネジメントしつつ、実務経験を活かした統計学・機械学習の法人指導・集団授業を展開することです。

認定プログラムの講座の特徴を教えてください。

(コンテンツ)

すうがくぶんかは、E資格向けの講座として、主に「ニューラルネットワークの基礎知識」と「動かし方の仕組み」の2つのポイントに注力しています。
ディープラーニングを理解するためには、プログラミング知識だけでは難しい場合があり、本来であれば、ニューラルネットワークの知識(計算)が必要となります。しかし、ニューラルネットワークの計算を理解するのは時間がかかり、理解が進まないので、まずは「手計算」でもできるような事例を用いており、わかりやすさを追及しています。
加えて、わかりやすい事例を用いて講師がハンズオンで説明するので、講義のスピードが早くなりすぎず、自分のペースで講義を受けられます。

また、講師は、数学や物理の修士以上の資格を有しているだけでなく、実際のAIエンジニアとしての実務経験もあります。多くは、機械学習の有名な企業でデータサイエンティストであったり、R&Dに携わったりと、機械学習関連の事業を実践してきました。講師陣は、機械学習の経験が豊富なので、ハンズオンの事例では、実際に使ったものを活用しており、受講生は、実務的な機械学習を学べます。

講座のイメージ写真

(学習方法)

学習方法は、原則として対面での講義形式です。オンライン化したので、遠方で受けられなかった人でも参加できるようになりました。また、講義内容が録画できるため、授業のスケジュールが途中で参加したり、疑問点があったりしても、前に遡れるようになり、利便性が向上したと思います。

(学習時間)

学習時間は、1回2時間の講義を19回、期間でいうと5か月間で受験できるレベルを目指しています。講義時間は比較的長いと感じられるかもしれませんが、一方でじっくりと学べます。たしかに、資格を短期間で取得することも大事ですが、機械学習の難しさを含めて「学ぶ楽しさ」を経験することも大事。学ぶ楽しさを知ると、継続して学べるようになり、自走できるAIエンジニアに近づくと考えるためです。

数学の苦手意識があっても案外できるようになるのでしょうか。

講義の対象は、法人個人と半々ぐらいですが、受講生の多くは、最初は数学に対して苦手意識を持っています。しかし、実際、学生の頃よりも社会人になってからのほうが、「数字」に触れる機会は増えていますし、数学的思考を使っているのも事実。また、学生の時はわからなかった理論も、大人になるとわかる場合もあります。

数学が苦手だったからという理由でディープラーニングを学ばないのはもったいない。学生のころよりも、数段理解力があがっているはずなので、学び始めると案外わかってくる可能性がありますので。

さらに、E資格試験では、数学の学ぶ範囲も決まっているので、集中してやることが可能。範囲を限定して学べばできるようになるケースがほとんどなので、挑戦したほうがよいと思います。

他にも、当社の講座には、大学の先生も「学びなおし」にいらっしゃっています。例えば、生物学、社会学、マーケティング学の先生など。他領域を学ぶことで、ご自身の領域との関連を模索されています。逆に、AIの学習手法に関して、先生から新たな示唆もいただけたりと、相互のシナジー効果を感じています。

受講生にはどのような人が多いですか。

当社の講座を受ける人の多くは、ディープラーニングに興味がある人です。仕組みをしっかり理解したい人など。E資格の取得を目的にされている方より、ディープラーニングを自信をもって業務で使いたいという人が多い印象です。

また、受講生の中でも半数くらいは、数学への苦手意識があったり、初心者だったりします。例えば、高校数学はあまり自信がないが、仕事で機械学習を扱っているなど、現状の必要に迫られて学び直しに来ている方などです。

他にも、機械学習の勉強が好きな方々が一定数いらっしゃって、趣味で学んでいるうちに、仕事で知識を活用するようになった方もいます。受講後、AIエンジニアとして異動したり、学んでいたら結果として転職につながっていた事例もあります。

自分の理解度を客観的に示すためにE資格をゴールとしている方が多くいらっしゃるように思います。

強みはどのようなところでしょうか。

講師は、医療、製造業、マーケティングなど、いずれかの領域でディープラーニングの実務に携わってきており、業界で起こっていることを講義中に話題にできます。そして、講師自身も数学が好きなので、最新の話題や研究に関連した話ができる点も強みだと思います。

また、講座を通じて「学ぶ楽しさ」を伝えられるのも、強みのひとつだと思っています。ディープラーニング講座は、資格のためだけにあるわけではありません。しっかり、ニューラルネットワークなどを学び、自分がこの分野でやっていけるか、楽しいと感じられるか測る機会でもあります。AIの領域は日進月歩変化が著しい。

スクールを離れても、学ぶ自走力があれば、キャッチアップしようとモチベーションになるでしょう。じっくりと数学や理論を学ぶ機会を提供し、その楽しさに目覚めていただけるよう細かに説明しているのは、他にはない特徴だと思っています。

JDLAに参加した経緯を教えてください。

E資格試験が始まる前より、ニューラルネットワークなど機械学習やディープラーニングに関連する講座はありました。E資格が始まる以前は、スクールの受講生が、学んだものの、理解できたか自信がない方がいらっしゃいました。

しかし、E資格試験ができ、自分の理解度を測れるように。受講生に自信をつけていただくためにも、試験はわかりやすいので、参加することにしました。

また、エンジニア/データサイエンティストとして成長できる人を増やすという考えにも賛同しています。AIへのはっきりとした理解が増えば全体の底上げになります。日本の科学技術を高めるためにも、ディープラーニングへの理解を広げたいという思いもあって参加しています。

最後にメッセージをお願いします。

E資格は、自分の実力や機械学習へ理解度をチェックするためには最適な機会です。また、ディープラーニングを学ぶことは、「最先端」の技術の変化に触れられる機会なので、ぜひ受けてみてほしいです。

ディープラーニングに対する学びが広がることは、日本のAI知識の底上げにもつながっていくでしょう。現状では、AIに対する知識はどこか空想のような、ぼんやりとしており、実態が理解されていません。

しかし、ディープラーニングを学ぶ人が広まれば、どれだけ開発が難しいかわかり、政策的にどの程度予算をつけたらよいか、企業内で事業にどのくらい投資すればよいかなど、適切な判断ができるようになるでしょう。

そのためには、楽しく学び続ける人材が必要であり、それが当たり前のとなる社会になっていくためにも、多くの人にE資格を受けてほしいです。

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