近年は、AI技術を日常生活およびビジネスシーンでみかけるケースが増えてきました。人工知能であるAIをビジネスに活かそうと考える企業が多くなっています。
AIビジネスを活かして成功を収めている事例も増えており、今後ますますAI技術の活用は広がっていくと予想されます。しかし、実際にAIビジネスの導入を検討しても、具体的にどのように進めていけばよいか分からない方も多いでしょう。
今回は、AIビジネスの活用事例や実際に成功を収めた事例、AIの導入を成功させるポイントなどについて解説します。これからAIビジネスに取り組みたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
AIビジネスとは
そもそもAIビジネスとは、AIをビジネスに活用することを指します。AIとは日本語で人工知能を指し、大量のデータから学習をして高い推測能力を持つ機械のことです。
AIの技術は、近年さまざまなシーンで活用されており、ビジネスにおいても活用の機会は広がっています。自社の業務や現場作業にAIを導入する企業も増えており、今やAIなしでは事業が成り立たない会社も増えていることでしょう。
AIビジネスは、世界的な規模で拡大しています。AI技術を導入せず既存の体制で事業展開をしている企業は、世界的な水準から遅れてしまう可能性もあるのです。
そのため、AIの導入は企業の事業展開において重要性が増してきているといえます。
AIのビジネス活用事例9選
AIをビジネスに活用している事例は、近年増えてきています。
AIの活用事例を参考にして、自分の企業においても活用する参考にしてみてはいかがでしょうか。
AIをビジネスに活用している代表的な事例を、以下に9例紹介します。
- 工場の不良検品
- 小売店の需要予測
- 飲食店の価格決定
- 農林業の農薬散布
- 介護施設の入居者観察
- 不動産業の価格査定
- 医療現場の画像診断
- 在庫管理
- 無人レジ
工場の不良検品
各種メーカーが製品を製造している工場において、不良品の検品をする際にAI技術が導入されています。製造物のキズ・凹み・異物混入などの外観異常を検知するため、AIの画像認識技術が用いられる事例が多いです。
製品の不良検品には、目視による検査が欠かせません。しかし、正確に異常を検知するためには、製品について熟知した高い技術とノウハウを持つ検査員が必要です。
そこで、AIに熟練検査員の技術を学ばせることで、いつでも高い水準での検品作業が可能になりました。さらにロボットアームの設備と組み合わせることによって、異常が検出された製品を自動で取り除けるようになり、業務効率のさらなる向上に成功した事例もあります。
小売店の需要予測
小売店などにおける需要の予測を、AIに実行させる事例が増えています。近年は食品ロスの削減が社会的な課題となっているため、期限切れの食品廃棄の削減は小売店において喫緊の課題です。
たとえば、大手回転寿司店ではレーンを流れるすべての皿にICタグを取り付け、売上状況や鮮度管理などを行っています。食べられたネタと廃棄されたネタの膨大なデータを集積し、ネタの需要をAIが算出できる仕組みです。
販売や廃棄の実績をデータとしてAIに学習させ、正確な需要予測を算出させることにより、最適な仕入れ量やタイミングに活かすのは、今後多くの小売店などでみられるようになるでしょう。
飲食店の価格決定
飲食店などにおいて、商品の最適な価格を決定する際に、AI技術が用いられる事例が増えています。さまざまな状況を踏まえ、過去のデータを基にAIが最適な商品価格を決定します。
商品の適正価格は、原料の仕入価格・仕入量・仕入の時間帯など、さまざまな要因を加味して総合的に判断することが必要です。そこで、従業員の感覚で判断するのではなく、膨大な情報を瞬時に読み取り、最適な価格をAIに算出してもらう事例が増えています。
商品の在庫状況によっても、価格を調整する機能をAIが発揮する事例が多いです。在庫が増えると価格を下げ、逆に在庫量が減ってくると価格を引き上げるといった調整の判断を、AIによって瞬時に実施できます。
農林業の農薬散布
農作業における農薬散布にも、AI技術が用いられています。農薬散布は、農業における大きな負担となっている場合が多いです。農薬タンクを背負い、炎天下の中を歩いて農場に散布するのは、かなりの重労働です。
そこで、AI技術とドローンを組み合わせた活用方法が注目されています。カメラを搭載したドローンで農場を撮影し、AIにより虫食いの状況を検出し、必要な箇所にピンポイントで農薬を散布できるのです。
人の手なしで作業ができて、かつ必要な部分にのみ農薬を使えるため、農作業の効率化に加えてコスト削減が可能となります。農薬の少なさにより、農産物の安全性が確保できるため、市場価格より高く販売できるのも魅力です。
介護施設の入居者観察
介護施設においても、AI技術が導入される事例がみられます。介護施設の入居者を観察する目的で、AI技術の導入が進められています。介護分野における人手不足を解消するために、AI技術の導入が検討されました。
内蔵カメラとセンサーを搭載したロボットが、入居者の動きや状況を察知し記録します。入居者の位置・体温・心拍数などの情報を、ロボットが24時間計測可能です。
起床・就寝時間の管理やトイレへの移動、食事量なども24時間計測できるため、介護従事者の大きな負担軽減が期待されています。
また、転倒などの危機管理においても、常に入居者を観察できる便利なツールです。
不動産業の価格査定
不動産業においても、AI技術が用いられています。たとえば、販売および賃貸で提供する不動産の価格査定にAI技術を用いる事例が見られます。
これまでは、不動産の販売価格や家賃設定は、担当者の経験や感覚により決められるケースが大半でした。担当者による価格設定のばらつきを解消するため、過去の膨大な不動産査定価格の実績からAIによる推定価格の算出を行う技術が導入され始めています。
地域の売却事例や賃貸実績、角部屋や窓の位置および階数など、あらゆる条件を踏まえた販売・賃貸相場をまとめるレポート作成においても、AI技術が用いられています。
医療現場の画像診断
医療の分野においても、AI技術の導入が進んでいます。たとえば、医療現場における画像診断をAIにより実施する事例が増えてきています。
胃がんの診断におけるAIの画像認識技術は、高い精度の検出が認められました。過去のがん患者の膨大な画像実績をAIに記憶させ、自動でがんの疑いのある箇所を検出させるという仕組みです。
AIの画像診断技術の導入により、医師の診断支援や検査業務の効率化などの効果を得ることができるのです。今後は、画像撮影のみで将来の病気発症リスクの検出や病状の悪化の可能性などを、AIで予測できる活用方法が期待されています。
在庫管理
工場や倉庫内における製品・部品などの在庫管理を、AIで実施する事例も増えてきています。在庫数の把握や不足品の発注など、これまで手作業で行ってきた部分の大半をAIで代用できるようになりました。
たとえば、商品の入荷・出荷時における在庫数の自動管理や不足品の補充業務をAIにより実施する仕組みが導入されています。また、倉庫内でカメラ付きのドローンを活用して自動的に在庫数の把握ができる仕組みを取り入れた企業もあります。
在庫管理をAIが実施することによって、労働時間の削減など業務の効率化が図れたり、サプライチェーンの効率化が図れたりと顧客の満足度だけでなく、従業員の満足度にもつなげられることでしょう。
無人レジ
小売店などでは、無人レジの導入が進んでいます。レジを通らずに会計をスムーズに終えられる、最新の技術の導入をしている店舗が増えています。
店舗内には複数のカメラが設置されており、カメラの映像をAIが診断してさまざまな情報の獲得が可能です。来店者数のカウントや商品の認識を可能にし、店頭に並んでいる商品の在庫把握や盗難のリスクを軽減できます。
会計時には、所定のモニターの前を通るだけで商品を自動でスキャンできるため、商品1つ1つのバーコードを読み取ったり記録したりする手間がかかりません。レジの無人化により、業務効率化と人件費削減の効果が期待できます。
AIの面白いビジネス成功事例3選
AI技術を導入した事例は、さまざまな企業でみられます。中には、個性的で魅力ある活用方法を採用している企業も多いです。
AIをビジネスに導入した活用事例のうち、大手企業が実施した個性的で面白い事例を以下に3例紹介します。
- 電通:視聴率予測と広告枠の最適化
- パナソニックのAIアシスタント
- LINEヤフーのソフトウェア開発
電通:視聴率予測と広告枠の最適化
広告関連の事業を展開する電通では、AI技術を用いて視聴率の予測と広告枠の最適化を実現した実績があります。限られたテレビ広告の枠を最大限効率よく活用するため、AI技術を活用した事例です。
テレビCMで広告を発信する際は、放映されるテレビ番組の視聴率予想が不可欠です。視聴率の高い番組に広告を出稿できる方が、高い広告効果が期待できます。電通では、テレビ番組の視聴率の予測を過去の膨大なデータをベースにAIが出力できる仕組みを生み出しました。
さらに電通では、限られた広告枠を効果的に活用するため、枠の組み換えをAIの判断で行う仕組みを提供しています。暑い日はアイスの広告を優先的に配信するなど、今の状況をAIが自動で判断して枠の組み換えができるという仕組みです。
パナソニックのAIアシスタント
電気製品メーカー大手のパナソニックの関連会社であるパナソニックコネクトでは、AIアシスタントサービスを活用しています。
同社グループではもともとAI技術を自社の業務に活用していましたが、さらに利用範囲を拡大しカスタマーサポートセンターにおける展開を目指します。顧客からカスタマーサポートセンターへの各種問い合わせに対し、AIによる対応を可能にすることが目標です。
これまでカスタマーサポートセンターでは、毎日多数の問い合わせを受けており、回答業務に莫大な手間と時間がかかっているのが課題とされてきました。AI技術で回答業務の対応ができることにより、業務の効率化と人件費削減が期待されています。
LINEヤフーのソフトウェア開発
インターネット広告事業などを手掛けるLINEヤフーでは、AI技術をソフトウェア開発に利用しています。ソフトウェア開発の1工程であるコーディング作業に生成AIを活用し、エンジニアの業務効率化と負担の軽減を目指しています。
コーディング作業とは、インターネットサイトをWeb上で表示するために必要なソースコードを、プログラミング言語で作成する作業のことです。コード記述の提案・エラー検出・最適化対応などを自動化することにより、エンジニアの手作業の大幅な削減が期待されます。
LINEヤフーではAIの導入により、エンジニアの作業時間を1人につき1日当たり1~2時間程度の削減を実現しました。
企業がAIを導入するメリット
企業のビジネスシーンにおいてAIを導入するメリットとしては、以下の5点が挙げられます。
- 生産性の向上
- コストの削減
- 顧客満足度の向上
- コミュニケーションの円滑化
- データに基づいた事業判断が可能
AI導入により、手作業をAIに代行させられるため、生産性を大幅に向上できます。同時に、人件費や無駄な廃棄の軽減などにより、各種コストの削減も期待できます。
さらに、AIの導入により顧客の需要を正確に捉えサービスの品質を向上させられることから、顧客満足度の向上が可能です。問い合わせサポートでの活用などにより、コミュニケーションの円滑化も目指せるでしょう。
過去の膨大なデータを基にAIが事業上の判断を行えるため、熟練者の判断がなくとも事実に基づいた効果的な判断結果が得られます。
AI導入を成功させるポイント
AIをビジネスへの導入を成功させるためには、どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。AI技術は高い能力と可能性を持ちますが、適切な導入の仕方を検討しないと、高い効果は得られないでしょう。
AI導入を成功させるポイントとして、主な要素を以下に3点紹介します。
- AI導入の目的を明確化する
- AI導入による費用対効果を考える
- AIの知識をつける
AI導入の目的を明確化する
AIを導入する前に、その目的を明確にする必要があります。AIの導入によって自社のどの部分を改善したいのか、目的意識を明確に持つことにより、どのようなツールを導入すればよいか判断できるでしょう。
まずは、自社で課題となっている事項を正確に洗い出し、必要なAI技術の種類を決めます。課題の内容によっては、AIよりも適切な解決策があるかもしれません。目的が明確でないままAIを導入すると、導入自体が目的になってしまうため高い効果が得られません。
社内で十分な打ち合わせを行い、解決すべき点はどのようなものであるか、その解決にはどのようなAI技術が向いているのかを決定するのがよいでしょう。
AI導入による費用対効果を考える
AIの導入により、どれほどの費用対効果が得られるのかを算出することも大切です。費用対効果とは、AIの導入に要した費用に対して、売上増加やコスト削減など得られたプラスの効果の割合のことを指します。
AIを導入することでプラスの効果が得られることはわかっていたとしても、数値で示して導入コストと比較することが重要です。プラス効果を数値化することにより、AI導入にかける費用の規模を決められるでしょう。
費用対効果を試算する際は、売上や費用削減の数値に加えて、従業員の働き方の変化についても加味します。AI導入により、従業員がこれまで携われなかった新しい仕事に従事できるなど、数値では表現できないプラスの効果もあるかもしれません。
AIの知識をつける
AIを導入する際には、AIに関連する知識を身に着ける必要があります。実際にAIを導入する際は、専門業者に相談するケースが多いでしょう。しかし、他社にすべてを委託するだけでなく、自社の業務に精通したうえで業者の担当者と打ち合わせができる人材が不可欠です。
AIに関して専門的な知識の習得が難しい場合でも、基本的な内容を習得しておくと、業者との打ち合わせの際に役に立ちます。専門業者の提案内容の必要性や効果について、判断できる最低限の知識があると安心です。
AIに関する知識を習得する際は、分かりやすく体系的に学習できる教材やコンテンツを選ぶのが大切です。専門知識がなくても習得がしやすい内容を選択して、必要最低限の知識を効率よく身につけてみてはいかがでしょうか。
AIの活用方法を学ぶならG検定がおすすめ
ディープラーニングの基礎知識と
事業活用能力を検定する資格試験
AIの導入を成功させるためのポイントとして、AIの知識や活用方法を身に着ける必要性について紹介しました。しかし、具体的にどのような教材やコンテンツを利用するのがよいのか、判断できない方も多いのではないでしょうか。
AIの活用方法を学びたい場合には、G検定を利用してみてはいかがでしょうか。G検定とは、日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催するAI関連の検定試験のことです。
G検定の利用により、AIに関する知識やビジネス活用における注意点などが学習できます。自社のビジネスシーンにAIを導入する際に有用な知識が効率的に得られるため、これからAI導入を検討している方は、ぜひG検定の利用を検討してみてください。
まとめ
AIビジネスとは、最新のAI技術をビジネスシーンに活用することです。医療分野・小売店経営・メーカーの在庫管理など、すでにさまざまな点で導入が進められています。
電通など大手企業においてもAI技術のビジネスシーンへの活用事例があり、今後ますます導入事例が増えてくるでしょう。今回紹介したAI導入のポイントを理解し、ぜひ導入に向けた検討をしてみてください。
AIの活用方法について学習したい場合には、G検定を利用してみてはいかがでしょうか。AIに関連する知識や導入に関して知っておきたい知識を体系的に学習できるため、AIビジネスを検討している場合には、ぜひ取り組んでみてください。