DCON出場者が第2回ディープラーニング活用アワード記念セミナーに登壇。事業着想のきっかけを語りました。

10/14(水)日経クロストレンド EXPO 2020にて

DCON2019・DCON2020に出場した高専生4名が、第2回ディープラーニングビジネス活用アワードの記念セミナーに登壇。同じくディープラーニング活用の事業案を競う大会であるDCON本選で観客を驚かせた事業の着想のきっかけや、それぞれのディープラーニング活用方法を語りました。

ディープラーニングで新たな事業を生み出した取り組みや、産業・社会的なインパクトの大きな取り組みを表彰するディープラーニング活用アワード。その表彰式・記念セミナーにて、DCONの出場者が講演を行いました。

DCON出場者が語る「事業の着想のきっかけと、ディープラーニング活用方法」

ソドー氏
(長岡高等工業専門学校所属・DCON2019最優秀賞・株式会社integrAIを起業)

インテグライではモノのデータ化にフォーカスして取り組んでおり、例えば工場でのアナログメーターを自動で読み取って記録・管理できるシステムなどを提供しています。
長岡高専のプレラボ制度で、地元の色々な課題を自分たちで見て回りました。その中で金属業や食品業の工場を見る機会がありました。工場では、常に温度や湿度を表示するメーターを監視・記録していますが、これを自動化したいという課題があることがわかりました。
はじめは1つのカメラで1つのメーターを読み取るシステムからはじまり、ディープラーニングを使うことによって人が手を加えなくても目的を達成できるシームレスなシステムに発展させていきました。

武智氏
(香川高等専門学校・DCON2019ファイナリスト・株式会社三豊AI開発を起業)

三豊AI開発では、ロボットとAIを組み合わせ効率的なインフラ点検を提供しています。
学校の研究室で共同研究として、送電線上を走行して外観映像を撮影する点検ロボットの開発に携わっていました。従来ロボットで撮影した映像は人の目ですべて確認されていたのですが、ディープラーニングの技術が組み合わさればより効率的に点検作業ができ、コストの削減や作業員が大幅に軽減できると考え、取り組みがスタートしました。
点検作業のように単調で時間の掛かる作業は必然的に「ヒューマンエラー=人間の確認ミス」が多く出てきますが、ディープラーニング技術を活用すればそれらを極限まで減らすことができます。インフラ点検の分野において、ディープラーニングは非常に重要だと考えています。

板橋氏(東京高等工業専門学校・DCON2020最優秀賞)
私たちが開発に取り組んでいるのは視覚障害者向けの自動翻訳システムです。このシステムでは、普段読んでいるような一般的な書類の写真を撮影すると視覚障がい者の方が読めるように点字に翻訳し、画面や点字プリンターへ出力します。翻訳から出力をすべてを全自動で行い、音声ガイドによって視覚障がい者の方でも独力で利用できるものとなっています。
きっかけは学校の研究で関わりのあった視覚障害者の方ご本人から、元となるようなアイデアを頂いたことです。初めに開発したのはディープラーニングを用いていないシンプルなものででした。その後ディープラーニングを使い、ビジネスモデルも整理することで「社会的に大きな意味があるものになるんじゃないか」と思えるものにしていきました。
ディープラーニングは、視覚障がい者の方が読みやすい点字の文章にするために活用しています。書類に含まれる図表などの複雑な内容の点訳や、ただ翻訳するだけでは長すぎる点訳(点字に翻訳した)文章を要約しています。ただ点字に翻訳するだけではなく、読みやすくする必要性を開発の途中で感じ、ディープラーニングを活用することになりました。

釜谷氏(鳥羽高等工業専門学校・DCON2020ファイナリスト)
鳥羽専門学校 江崎ラボは三密を避けて旅行するための観光案内サービス「鳥羽海鮮丼きっぷ」でDCON2020に出場しました。
「鳥羽海鮮丼きっぷ」は各観光地だったり店舗に顔認証や通行量測定用の機材を設置することで、専用アプリからリアルタイムで観光スポットの混雑状況を把握できます。年代・性別の傾向から最適な観光スポットを導きだして、アプリ利用者に最適な経路を提案するものになります。
この事業案は元々は鳥羽市の観光統計が正確ではないということから始まりました。顔認証を用いて正確な観光客数を把握したり、観光客がどういった移動・巡回ルートで観光しているのか?を可視化できれば役立つのでは?というところから、事業案を考えはじめました。その後、コロナ禍に対応するため、マスクを着けていても顔認証ができるシステムをディープラーニングを活用して開発しています。

4名の話では、現場を見たり・課題を持っている人と直接話したことが事業案着想のきっかけとなっていることが多いようです。技術者を目指して学びながら、地域の産業に触れる機会にも恵まれた高専生だからこそ生まれた着想の機会と言えるかもしれません。

総括「ディープラーニングを活用するために」

日本ディープラーニング協会の理事であり事務局長の岡田隆太朗氏は、講演を総括し以下の様に結びました。

「講演をいただいた皆様はほとんどがビジネスマンだと思いますが、これだけの具体的な作品=事業案を高専生が考えていることに驚いたのではないでしょうか。
DCONに出場した高専生は得意のものづくり技術にディープラーニングを加えて、事業案を一気に具体化できるのが素晴らしいところです。DCONはすでに次回開催も決定しており、年間を通して高専生を応援していきたいと思っております。
日本ディープラーニング協会は日本の産業競争力を向上するために、ディープラーニング技術の社会実装、すなわち多くの企業で活用して頂くことを目指しています。講演をみていらっしゃる皆様はそれぞれ業界の『課題』はわかっているはずです。課題を解決するために、是非ディープラーニングを学んでください。今回のディープラーニングビジネス活用アワードで表彰された事例の中にも、多くのヒントがあります。
ご関心のある方はぜひ、当協会ホームページより勉強会への参加や、G検定の受験もご検討ください。ディープラーニングの活用を担う人々の学び合いの輪が広がっていけばと考えております。」

JDLAは、ディープラーニングの産業活用を促進する人材の輩出を目指し、引き続き本アワードを支援致します。翌年度の開催にもご期待ください。

<第2回ディープラーニングビジネス活用アワード および 表彰式・記念セミナー 概要>
◆主催:
日経クロストレンド、日経クロステック
◆後援:
日本ディープラーニング協会、経済産業省
◆表彰・記念セミナー開催概要:
日経クロストレンド EXPO 2020内にて表彰式・記念セミナーを開催(オンライン開催)
◆開催日時:
2020年10月14日(水) 14:00-16:30
◆ホームページ:
http://troposphere.tokyo/webtest/nikkeibp/xtrend_e/2020/

<DCONについて>
■概要:
高等専門学校の学生が日頃培った〈ものづくりの技術〉と〈ディープラーニング〉を活用した作品を制作し、生み出される〈事業性〉を企業評価額で競うコンテスト。
■主催:JDLA
■運営:DCON実行委員会
・公式ホームページ https://dcon.ai/2021
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