【DCON2020 最終結果】自動点字翻訳システムで5億円の企業評価額を受け、東京高専チームが最優秀賞を受賞

白熱の事業創出コンテストに決着!上位3チームが5億円の企業評価額で並ぶ結果に

高専生が日頃培った〈ものづくりの技術〉と、AI(人工知能)分野で特に成果を出す技術〈ディープラーニング〉を活用して、企業評価額を競うコンテスト「DCON2020」の本選が8月22日(土)に開催。上位3チームがプレ大会優勝校を上回る5億円の企業評価を受けるハイレベルな内容で、オンライン開催ながら大いに盛り上がる第1回大会となりました。

「第1回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2020(以下DCON2020)」(主催:日本ディープラーニング協会 以下JDLA)本選を8/22(土) 15:00-18:00 場所:日経ホールにて開催いたしました。

第1回の本選となった今回、二度の予選を勝ち抜いた精鋭11チームが出場しました。ステージ上には、実行委員長として東京大学大学院教授 松尾豊氏、司会にタレントの小島瑠璃子さん、音楽クリエイターのヒャダインさんほか、審査員の皆様をステージ上にお迎え。オンライン中継を介し、事業化も想定して白熱のプレゼンが行われました。

大会結果

<最優秀賞・若手奨励賞>
東京工業高等専門学校 プロコンゼミ点字研究会「:::doc(てんどっく)」
企業評価額 5億円 投資総額 1億円

最優秀賞は「東京工業高等専門学校 プロコンゼミ点字研究会」が受賞。企業評価額 5億円、投資総額 1億円という評価を受け、副賞の起業資金100万円と日本ディープラーニング協会若手奨励賞も同時に授与されました。
「:::doc(てんどっく)」は、印刷された文字と点字の相互自動翻訳を視覚障がい者自身で行えるシステム。テクノロジーを使って情報アクセス不平等をなくす、社会的意義の高い取り組みが評価された結果となります。

以下、審査員・メンターからのコメントです。

  • 「『点字』という、非常に深い一方で取り組む競合が少ない課題を解決しようとしている。点字はグローバルな共通語なので、いきなり世界進出も可能なのではという部分を評価した。」
  • 「コンテストのためではなく、利用者である視覚障がい者の方々の課題を本気で解決するために取り組んでいた。」

<企業賞・全チーム評価額>
最優秀賞のほか、各協賛企業が表彰する企業賞が授与されました。表彰時には企業から高専生へ「すぐにでも共同開発をはじめたい」「ぜひ就職を検討してもらいたい」などの提案がされる場面も。最優秀賞受賞チームだけではなく、大会全体のレベルの高さがうかがえる表彰式となりました。
審査では、実際にベンチャー企業が評価される時と同じ基準で評価を受けます。技術の価値が企業評価額と投資金額でジャッジされる点が、他のコンテストとは違うDCONの大きな意義となります。新たなビジネスにどれくらいの価値があるかを売上や利益にくわえて、事業の意義・市場の大きさ・経営者とメンバーの資質などから判断します。

以下、出場チームと受賞結果となります。

<DCON2020本選 テレビ放送予定・アーカイブ映像のご案内>
☆テレビ放送予定
 NHK教育テレビジョン(NHK E)放送番組『サイエンスZERO』
 DCON2020本選の模様を2回にわたり放送予定です。
 第1回 9月 6日(日) 23:30- 第2回 9月 13日(日) 23:30-
☆アーカイブ映像
  日経チャンネル(https://channel.nikkei.co.jp/e/dcon2020)にて、大会の模様をご視聴頂けます。
☆アフターレポート
 各チームの作品・事業内容の解説も今後DCON公式ホームページに掲載を予定しています。

総括 DCON2021開催へ向けて

結果として、プレ大会DCON2019の最優秀賞チームの4億円を超える、企業評価額 5億円を上位3チームが並んで獲得。コロナ禍で作業を進めにくい状況だった中、非常にレベルの高い第1回大会となりました。

大会を総括し、ステージ上の出演者は以下のようにコメントしています。

  • 実行委員長 松尾豊氏:「『現場の技術者が様々な技術を組み合わせ、新しい価値を生み出す創意工夫をし、課題を解決する』というのは経済成長の1つの基本であり、日本の強みでもあると思っています。高専生こそ、それができる可能性をもっている。DCONでは先輩起業家がメンターとして高専生を指導します。起業家の卵を育てていく場はコミュニティとして非常に重要であり、先輩に後輩がどんどん続いていくといった流れを作っていきたいと考えています。」
  • 技術審査員 尾形哲也氏:「ディープラーニングをハードウェアときちんとつなげ、情報をサイバー世界だけではなくフィジカルな世界に対するサービスとして、トータルなモデルで考えている提案が多かった。ハードウェアを自作するチームが多いことも注目。既存のハードウェアにディープラーニングを応用する現在主流の開発フローとは逆に、ディープラーニングの活用を前提としたハードウェアの開発が今後されるのではないか。研究的にも大変興味深いです。」
  • 司会 小島瑠璃子さん:「自分たちでトライして、現場の声をたくさん聞いて改善して、次に繋げてものづくりをしている様子がプレゼンからわかりました。くわえて、今回ベンチャーキャピタルの方々と出会う機会をもらって、ビジネスに直結する頭の使い方も学んでいます。本当に才能ある高専生がここから育ってくれるんじゃないかと思います。5億円もの企業評価額を受けたチームが3チームも出て、第1回にしてあまりにもすばらしい大会になったと思います。」

JDLAおよびDCON実行委員会は、今後もDCONの継続的な開催によりディープラーニングの産業活用を促進する若手人材の輩出を目指し、引き続き本コンテストの運営にあたって参ります。
既にDCON2021の開催が決定しており、詳細はDCON公式ホームページ(https://dcon.ai/2021/)にて随時ご案内いたします。DCON出場の高専生の今後のご活躍にもご期待ください。

<DCON2020本選 開催概要>
■概要    高専生が日頃培った「ものづくりの技術」と「ディープラーニング」を活用した作品を制作し、その作品によって生み出される「事業性」を企業評価額で競うコンテスト。
■日程 2020年8月22日(土)15:00~18:00
■会場 日経ホール(東京都千代田区大手町1-3-7 日経ビル3階)無観客・オンライン開催
■主催 日本ディープラーニング協会(JDLA)
■共催 株式会社日本経済新聞社
■運営 DCON実行委員会
■ホームページ https://dcon.ai/
■Facebook https://www.facebook.com/DCON123/
■Twitter  https://twitter.com/DCON_JDLA