(Vol.1)成功事例から見る、リスキリングの鍵 ① 〜キャリアアップのチャンスを掴み、組織改革へ大きく貢献〜

「G検定」の受験をきっかけに、組織内で新たな立ち位置を獲得した、またキャリアチェンジの機会を得たという、「リスキリングによってキャリアアップの可能性をつかんだ事例」をご紹介いたします。

「G検定」「E資格」によるリスキリングにより、文系人材が自治体に必要なDX人材に変貌した事例

[POINT]
・文系人材がG検定受検のリスキリングによりDX推進人材として活躍
・DX推進人材となって5,500時間の業務削減を実現
・「行政に携わる人は全員G検定を取ってもいいのではないか」という提言

子どもの学びをきっかけにリスキリング開始

リスキリングによって、思ってもいなかった新たなポジションや可能性、そしてビジネスチャンスを得られることが多々あります。そんな例の一つをご紹介します。

せめて子どもが学校で学ぶ内容は知っておきたいとG検定を受検したことから、DX推進部へ異動を果たした北九州市 デジタル市役所推進室の髙塚靖彦さん(G検定2020#1、E資格2021#1 合格)の事例です。

髙塚靖彦(たかつか やすひこ)さんは、ご自身の子どもたちにプログラミング教育が必修になることをきっかけにG検定を受検し、AIの分野に本格的に興味を持つようになり、E資格も取得しました。その後、北九州市のDX推進の司令塔として2021年4月に新設された「デジタル市役所推進室」に異動し、行政現場へのAI・RPAの導入にあたっています。

髙塚さんは大学が文系(法学部)、入庁後も教育委員会や産業経済局、環境局などで執務、情報システム部門に携わったことはなかったと話します。そのような人材が、お子さんのプログラミング教育をきっかけに、G検定を受験、E資格も取得し、繰り返しになりますが、今や北九州市役所のDX推進の最前線に立って活躍していらっしゃるのです。

初めは“子どもに聞かれたら教えてあげようかな”“世の中こういう流れだから、これぐらいは教養として知っておこう”というイメージだったと髙塚さんは語ります。ところがG検定の勉強を始めてみたら、どんどん興味が湧いてきて、資格取得後、E資格にも興味を持ちました。新しく始まった「資格取得助成制度(業務に活かせ、かつ難易度が高めの資格を取得する際に申請し、審査が通れば最大10万円までの助成金が出る制度)」にも背中を押され、E資格にチャレンジすることにしたと話します。

E資格のハードルの高さに始めは困惑したものの、髙塚さんは「実技課題はとても面白かったですし、“こういう仕組みでAIはできているんだ”とわかってきて個人的な興味を満たせましたね。そして、ゆくゆくは“仕事につながったらいいな”と思うようになりました」と自らの内面の変化を振り返ります。

リスキリングにより希望の部署で活躍

G検定・E資格の合格後、髙塚さんは希望していた現在の部署に異動します。ちなみに、北九州市は数年前からAI音声認識を活用した議事録等作成支援システムやAI-OCRなどのAI導入を進めている自治体です。髙塚さんも「こういうAIを入れてほしい」と、デジタル市役所推進室の前身にあたる情報政策課に要望を出していました。そういった流れの中、「自分もAIを広げる立場になりたいな」と思っていたとのことです。

「助成制度に応募するときから“E資格を取れたらAI活用を進める部署に行けるかな”とは思っていました。異動希望調査の際に希望を伝え、デジタル市役所推進室への異動が叶いました」(髙塚さん)

その結果、髙塚さんは文系出身ながら、各課の職員から「こういうことはAIでできそうか」という相談が寄せられる立場になりました。その際、今の技術で実現できるか否かの目利きができるようになり、「○○社が出しているこの製品を活用するといいよ」といったアドバイスもできるようになったとのことです。また、E資格まで取ったことで、素人ながらコードを書く大変さもわかるようになり、技術者と話をする際に、考えていることやポイントが少しはわかるようになったのも成長の証しだと感じているようです。

今回、髙塚さんはリスキリングにより、新しい活躍の場を得ることができ、新しい働き方を得ることもできることもできました。今後も自治体に必須のDX人材として、より重要なポジションを与えられる可能性が高いのではないでしょうか。

そして個人のキャリアップにとどまらず、自治体全体にも好影響が見受けられるようです。

自治体の業務を約5,500時間削減

北九州市は、2022年4月、第1回「日経 自治体DXアワード」において、先進的なDXの取組を行う自治体として、「大賞」を受賞しました。

受賞した部門の中で、髙塚さんが主に関わったのは「行政業務/サービス変革部門」です。そこでは、AI議事録等作成支援サービスやAI-OCRサービスなど、デジタル技術を活用した事務作業を各部署から集約して検証・実行する「デジラボ」を設置しました。そして2021年5月から12月までの試行期間8カ月で、約5,500時間の業務削減を実現しました。

自治体から見ても、これは、リスキリングにより生まれたDX人材が自治体の業務削減を果たしたという、特筆すべき事例ではないでしょうか。

自らの体験も踏まえ、髙塚さんは「(行政に携わる方は)G検定は、全員が取ってもいいと思います。G検定が要求する内容は上の立場の方こそ身につけてほしいと思います」と語りました。

高塚さん合格者インタビュー記事

[G検定 合格者インタビューvol.15]

ディープラーニング × 北九州市のAI活用(DX)推進
「日経 自治体DXアワード」大賞の北九州市
官民格差を埋めるAI・RPA活用推進の鍵は
北九州市 デジタル市役所推進室 髙塚 靖彦さん

「G検定」受験~合格のプロセスで、先端技術の事業活用を創案できる人材に成長した事例

[POINT]
・新卒2年目人材が社内向けAI講師として活躍
・社内の事業を深く理解し、事業を創案する人材に成長
・AI講師の経験とG検定取得により、若手社員が「より高い視座」を持つ人材に成長

新卒2年目で社内AI講師の指名を受け「G検定」受検

2018年にサントリーシステムテクノロジー(以下、SST)に入社し、現在は先端技術部でサントリーグループの事業におけるAI推進や技術開発、新技術の導入検討・検証を行っている中川 要さん(G検定2019#3合格)の事例です。

中川さんは入社2年目の時、G検定を受検する前に、AIに関する知識やノウハウを社内・グループ全体で広めていける体制づくりが必要だということで、AIの社内講師の指名を受けたとのことです。中川さんは「人に教える」という意味でも、基礎的な知識をしっかりと身につけておかなければならないと思い、G検定を受検することに決めたそうです。

中川さんは、定時後に毎日30分~1時間ほど時間を取って、1カ月ほどテキストを読んだり問題集を解いたりを続け、さらに15人ほどの社内勉強会にも参加したそうです。昼休みの時間やオンラインのチャットを使いながら、問題集を解いていてわからないところを教え合ったり、受験時に持ち込むシートのポイントを共有したりする中、同僚が頑張っている様子を見て「自分も頑張ろう」とモチベーションが湧いてきたとのことです。

そうした学習により、AIに関する全般的な知識を身につけることができ、「これだけの知識があればある程度人には教えられるかな」という自信がついたと中川さんは話します。また、法律や歴史、実際の先端的なAIの研究事例など、様々な方面の知識を得られたのは面白かったとのことです。

社内の事業について知見が広がった

中川さんは新卒2年目にして社内研修の講師デビューを果たし、最初は失敗もしたものの、失敗しても怒られず、徐々に自信をつけられたそうです。研修の3、4回目になるとかなり慣れてきて、緊張しながらも質問にもスムーズに答えられるようになったとのことです。

一方で、事業部の方たちのバックグラウンドや知識レベルは様々なことに気づいたそうです。「AIってテレビで見たことあるよ」「AIって結局全然ダメなんでしょ」と言う人たちに、どういう伝え方をすれば「AIとはこういうものなんです」と伝えることができるのか、とても腐心したと言うことです。新卒2年目の中川さんにとって、なかなかむずかしい課題だったでしょう。「ありきたりな回答ではありますが、相手の立場に立った言葉の使い方や説明をすることが大事だと痛感しました。IT部門の人には馴染みがある単語でも、そうではない人たちには何が何やらさっぱりわからないということは結構あったので、気を遣って話すことで理解してもらえることが多かったです」と中川さんは振り返りました。

そのプロセスは、中川さんにも、会社にも、少なからず影響を与えたようです。研修を通して事業部門の人たちとやり取りをする中で「私たちには思いつかないようなアイデアが、事業部門の方だからこそ出てくることがある」ということです。

事業創出への興味が湧いてくる~企業成長をもたらす人材へ

こうして講師を務める中川さんに気持ちの変化が訪れ、G検定に合格したことで、E資格など次のステップへの興味や意欲も出てきたとのことです。E資格に向けた勉強をしたり研修を受けたりして、より深い知識を得るようになったことで、研究領域で使うAI開発において、「こういったAIが適切なのではないか」という提案もできるようになってきたと語りました。

また、AIの知識を持っている立場の人間として、自ら「AIを広めていこう」という主体性が生まれたと話します。「AIによってより効率的に働いてもらいたい、面白い新しい事業を立ち上げてもらいたい、そういった気持ちで仕事をする場面が増えました」(中川さん)

具体的には、AI研修で相手のことを思って資料や伝え方を工夫するという経験をしたことで、ユーザー体験にも興味が湧き、ユーザー体験の最適化のために先端技術を使えないかと考えるようになったということです。

中川さんは、「サントリーでは一般向けの製品を扱っているので、そういったところにAIや先端技術を活用していけるような人材になっていきたいです」と結びました。G検定を取得し、社内講師を務めるうちに「より高い視座」を持つ人材が生まれたのですね。

こうしてリスキリングの結果、中川さんが活躍の場を広げたことで、今後の給与や待遇に期待が持てるのではないでしょうか。

また、人的資本経営を目指す企業から見ても、リスキリングの結果、企業成長をもたらす種まきができるという可能性を見いだせる事例のひとつではないでしょうか。

中川さん合格者インタビュー記事

[G検定 合格者インタビューvol.11]

 ディープラーニング × DXにおける若手社員の活躍
入社2年目でAI社内研修の講師を担当
IT部門のみならず事業部門こそ「AI活用のアイデアを」
サントリーシステムテクノロジー株式会社中川 要さん

ディープラーニングの理論の理解と
開発実装能力を認定する資格試験

全てのビジネスパーソンに向けた、
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